まず、このコウモリの声を聴いてみてください。
こんにちは。長野県でコウモリの生態調査と野生生物の建築物侵入メカニズムを専門に研究している、かわほりプリベント代表の山岸淳一です。長野県におけるコウモリ・野生動物対策の専門研究機関として、科学的エビデンスに基づいた正確な情報をお届けします。
今回の記事は、動物の音でどんな動物なのかを特定しようという記事です。
さて、まず多くの方からご要望があったコウモリの声をYoutubeにショート動画でアップロードしました。
これをまず聞いていただき、コウモリの声かどうかを判断して、次のステップへ移ってください。
音や鳴き声から、家の動物の正体を探る
天井から聞こえる物音、夜中に響く鳴き声…。その正体が分からず、不安な夜を過ごしていませんか?このページは、ご自宅で聞こえる「音」を手がかりに、そこに潜む動物の候補を特定するための専門ガイドです。
どんな音がしますか?
| 動物名 | 鳴き声・音の例 | 声以外の音・存在兆候 | 活動時間帯 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
コウモリ(アブラコウモリ)
|
チッチッ、キッキッ、キーキー |
羽音(バサバサ)、糞の堆積、夜間の出入り | 夕方~夜明け(夜行性) | 夏は繁殖期/冬は冬眠 |
ネズミ(クマネズミ)
|
チューチュー、キーキー | カリカリ(齧る音)、足音、糞尿臭 | 深夜中心(夜行性) | 秋から活発化して春まで。近年は夏もよく動く。 |
ハクビシン
|
キューキュー、ギャーギャー、ガァー! | ドタドタ(足音)、糞溜め(溜め糞)、悪臭 | 日没後~明け方(夜行性) | 春・秋の繁殖期に鳴き声・活動量が増加 |
イタチ(二ホンイタチ)
|
キーキー、キッキッキッ、ククククー | ドタバタ(走行音)、糞臭、巣材の擦れる音 | 夜中心だが昼も活動あり | 春の繁殖期には鳴き声が特に増加 |
アライグマ
|
グルルル、クルルル | 足音、物を引きずる音、糞、破壊痕 | 夜中心、昼間も活動あり | 繁殖・子育て期は騒音や破壊行動が増加 |
ムササビ
|
キャッキャッキャッ、グルル | 屋根裏や天井裏でガサガサ・バタバタという足音、巣材の運搬音 | 夕方~夜間(夜行性) | 森林近くの住宅で多い |
ヘビ
|
基本的に鳴かない | 這う音(シャッシャッ)、抜け殻 | 昼行性が多い | 振動や物音で存在を感知されることが多い |
鳥(ムクドリ)
|
チュンチュン、ギュルギュル、ギャーギャー | 羽音、巣材を運ぶ音、糞 | 早朝・日中(昼行性) | 集団生活による騒音が目立つ |
兆候別まとめ:あなたの家の動物は?
ご自宅の状況に最も近い項目から、可能性の高い動物を確認できます。
夜間に鳴き声・足音がする
- イタチ、ハクビシン、アライグマ、クマネズミ
パタパタと羽音が目立つ
- アブラコウモリ、鳥(ムクドリ・ヒヨドリ・スズメ)
這うような音・抜け殻
- ヘビ
専門家の現場ノートコラム
アライグマの鳴き声と正体──屋根裏の音から始まった発見
私は長野県で野生動物の対策をしていて、これまでに多くの現場を見てきました。とくに印象に残っている音は、アライグマの鳴き声です。
10年ほど前のこと。今でこそアライグマは長野県内の各地に生息していますが、当時は南信の飯田市周辺と東信の一部地域にしか見られず、まだ珍しい生き物でした。
「鳥が屋根裏にいるようだ。ドタバタとうるさくて……」と相談を受けた飯田市の現場で、実際に聞こえてきたのは「クルルルル……」という鳥のような高い声。天井裏にいたのは、なんとアライグマでした。大きな体でこんな声を出すのかと、驚いたことをよく覚えています。
小学校の屋根裏に響いたコウモリの警戒音
一方で、最もうるさいと感じた音は、小学校の屋根に住み着いていたコウモリの集団でした。コウモリたちは、7メートルほどの高さにある屋根の隙間の奥にいて、わずかに顔が見える程度です。私が近づくと、「キーキー」と一斉に警戒音をあげ、それは大きな音量で高音が響き渡りました。授業中だったため、静寂と子どもたちの声が交差する中で、その場は異様な空気を感じてしまいました。
野生動物の声が伝える感情と状況
野生動物が出す声や物音には、その時々の感情や状況が表れています。警戒、威嚇、子育て中の緊張――音は、彼らがそこで生きている証です。動物の種類によって鳴き声や足音の質、動きのリズムに特徴があり、耳を澄ませば少しずつ特徴や気配が見えてきます。
天井裏の物音に気づかない理由とは
とはいえ、天井裏の音に気づかない方も少なくありません。住宅の壁や天井裏では、断熱材が音を吸収してしまうためです。そして他の要因、例えば家の軋み音、外部の音、あるいは家族の生活音と勘違いしてしまい、動物の存在に気づかないまま暮らしているケースも多く見られます。
「ちょっと変だな」と思うような音があれば、それは何かのサインかもしれません。違和感を覚えたときが、調べるべきタイミングです。
コウモリの超音波とAI──見えない動物を“音”で識別する時代へ
近年は、音の波形や周波数をもとにAIが動物の種類を推定する技術も進んできました。私が専門とするコウモリの分野でも、海外では音声データが充実しており、高い精度での種の識別が可能になっています。
ただ、日本国内ではまだデータが十分とは言えません。私も、夜間調査でコウモリの姿が見えないと、音声データだけが頼りとなり、現場での観察をもとに、鳴き声の傾向、波形、周波数の高さ、建物の立地などを総合して、「おそらく〇〇コウモリ」と推定する場面が多くあります。
音に気づくことが、最初の一歩になる
見えない動物たちは、音で存在を知らせてくれています。もし何かに気づいたら、まずはその音を記録してみてください。それが、大きな手がかりになるかもしれません。
音に関する、より具体的なご質問と回答
- 家の中で物音がするのですが、動物が住みついている可能性はありますか?
- はい、夜間や早朝に天井裏や壁の中から物音がする場合、ネズミやイタチ、ムササビなどの野生動物が住みついていることがあります。音の種類や発生時間帯を記録しておくと、動物の種類を推定しやすくなります。
- 夜中に屋根裏からガサガサ音が聞こえます。どんな動物が考えられますか?
- 屋根裏で「ガサガサ」「バタバタ」といった音がする場合、ムササビやアライグマ、ハクビシンなど体の大きな動物の可能性が高いですが、地域や立地によってはイタチやテンなども考えられます。足音が軽ければネズミやコウモリも考えられます。
- 夜間に聞こえる動物の鳴き声や足音で種類を見分ける方法はありますか?
- 鳴き声や足音の大きさ、リズム、時間帯が手がかりになります。ネズミは「カリカリ」、イタチは「キーキー」、ムササビは「キャッキャッ」といった鳴き声が特徴です。
- ムササビが家に住みつくとどんな音がしますか?
- ムササビは夜間に「キャッキャッ」という鳴き声や、「ガサガサ」と大きな足音を立てます。屋根裏で物音が大きい場合は要注意です。
- コウモリの鳴き声や羽音はどのように聞こえますか?
- コウモリの鳴き声は人間には聞き取りにくい高音ですが、危険時には「キーキー」や「チッチッ」といった音が聞こえることもあります。羽音や夜間の出入りも特徴です。
- ネズミの物音と他の動物の物音の違いは何ですか?
- ネズミは「カリカリ」と木材を齧る音や「カサカサ」と小さな足音が特徴です。大型動物はもっと重い音を立てるので、音の軽さや頻度が見分けのポイントです。
- イタチやハクビシンの足音はどんな感じですか?
- イタチは「ドタドタ」、ハクビシンは「バタバタ」といった重めの足音を夜間に響かせます。鳴き声も「キーキー」「ギャーギャー」と大きいのが特徴です。
- アライグマが住宅に侵入した場合の音や被害はどんなものですか?
- アライグマは夜間に「ゴソゴソ」と物を動かす音や、「グルル」といったうなり声を発します。糞尿や建材の損傷などの被害も発生しやすいです。
- 動物の鳴き声や物音で早期発見するにはどうすればいいですか?
- 夜間や静かな時間帯に音がしないか注意深く聞き、音の種類や場所を記録しましょう。早期発見が被害拡大防止につながります。
- 家の中で聞こえる物音が動物かどうか確かめる方法はありますか?
- 物音の発生時間、場所、音の種類を記録し、糞や巣材、出入り口の有無を点検しましょう。不安な場合は自治体や公的機関、専門家に相談するのが安心です。
【重要】動物の特定後にすべきこと・してはいけないこと
正体の見当がついた後、焦って行動するとかえって状況を悪化させることがあります。お客様と建物の安全のために、以下の点にご注意ください。
- むやみに近づかない・触らない:野生動物は、身の危険を感じると攻撃してくることがあります。また、どのような菌や寄生虫を持っているか分かりません。絶対に素手で触れないでください。
- 侵入経路を安易に塞がない:動物が建物の中にいる状態で全ての出口を塞いでしまうと、中で死んでしまったり、別の出口を探して壁や天井を破壊したりと、被害が拡大する原因になります。
- 専門家に相談する:最も安全で確実な方法は、プロに相談することです。正確な動物の特定、法に則った適切な対処、そして被害の再発防止まで、責任を持って対応してもらえます。
関連情報:他の方法で探す・相談する
今回の情報で特定が難しかった場合や、より詳しく知りたい場合は、他の専門ガイドもあわせてご覧ください。
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