こんにちは。長野県塩尻市を拠点にコウモリの生態調査と野生生物の建築物侵入メカニズムを専門に研究している、かわほりプリベント代表の山岸淳一です。
投稿記事では、長野県におけるコウモリ・野生動物対策の専門研究機関として、科学的エビデンスに基づいた専門家として執筆しています。
今回の記事は、長年多くの施主様や業者様を悩ませてきた「コウモリは忌避スプレーで追い出しても戻ってくる問題」や「コウモリの外壁の尿のシミ汚れ・フン害問題」を解決する、新しいコウモリ対策製品の発売(2026年6月下旬予定)に関するお知らせです。
日本の防虫ブラシでトップメーカーである株式会社バーテックから、かわほりプリベント山岸淳一との共同開発の新しいコウモリ対策製品が発売されます。
コウモリを自然に追い出すことができる「バットアウト」とコウモリの外壁ぶら下がりを解決する「バットスライド」の2製品で、ともに住宅建物用途のプロ向け製品です。
なぜ、これまでのスプレーや穴埋め対策では防げなかったのか。そして、この新製品がどのようなロジックでコウモリ被害を終わらせるのか。
今回は、私のこれまでの現場調査とコウモリの生態学的エビデンスを統合し、住宅のコウモリ対策における日本にはなかった対策手法について解説します。


この記事のまとめ
- ・スプレーによる匂いの忌避は、コウモリの感覚適応や強固な空間記憶の前に限界がある。
- ・コウモリは超音波の乱反射(ノイズ)を補うため、外壁に着地して這い回りながら物理的に隙間を探す。
- ・コウモリは1mmの段差ですら、爪を引っ掛けて侵入する。
- ・ナイトルースト(夜間休憩場所)での尿害は建材をエッチング(侵食)し、外壁塗装が傷む
- ・コウモリと住宅の問題の解決には、匂いではなく、物理的に止まれない・登れない環境を作り出す「一方通行の自然な出口」と「コウモリの執着心の遮断」が必須である。
コウモリスプレーや単純な穴埋めによる対策の限界
みなさんご存じのように、日本の住宅で行われているコウモリ対策の多くは、スプレーによる追い出しや、目に見える穴だけを塞ぐ表面的な施工に留まっています。
しかし、この手法は動物行動学のエビデンスから大きく外れています。忌避スプレーによる限界と、単なる穴埋めによる限界の2点に分けて理由を解説します。
忌避スプレーが効かなくなる理由
コウモリは「感覚適応」という能力を持っています。そのため、コウモリは忌避剤の強い刺激を短時間で無視するようになります。さらに、スプレーの刺激を受けた個体がパニックを起こし、壁の奥深くへ逃げ込んでしまうリスクも存在します。
そしてコウモリは「強固な空間記憶」と「仲間の匂い(ラビングマーク)」に強く依存することが研究からわかっています。コウモリの記憶に「そこが安全な場所である」という情報が残っている限り、人間がスプレーで一時的に追い出しても、コウモリは何度でも飛来します。
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単純な穴埋めではコウモリの問題が解決しない理由
コウモリが戻ってくる理由は匂いの問題だけではありません。業者が一つの穴を塞いだとしても、コウモリはすぐ横にある別の隙間を見つけ出します。
なぜコウモリは塞がれた穴のすぐ近くにある別の隙間を見つけ出せるのでしょうか。それは、コウモリが空を飛びながら超音波(エコーロケーション)だけで隙間を見つけているわけではないからです。
複雑な外壁の素材や凹凸の前では超音波の乱反射(ノイズ)が起きます。そのため、数ミリの穴という微小なシグナルは超音波だけではかき消されてしまいます。
そこでコウモリは、一度外壁に着地します。そして、壁面を這い回りながら物理的かつ接触的に隙間を探り当てる行動をとります。
1mmの段差を足場にする爪と低所からの侵入


コウモリが外壁に着地して這い回る行動を可能にしているのは、コウモリの特殊な爪の構造と身体能力です。
コウモリ対策においては、コウモリが1mmの段差を足場にするという前提で侵入防止設計を考える必要があります。コウモリはわずかな外壁塗装の継ぎ目や板金の段差に爪を引っかけます。そして、コウモリは体操選手のように体をスイングさせて隙間に侵入します。
コウモリの侵入箇所は屋根裏などの高所に限りません。玄関ドア付近など、私たちの目線と変わらない位置からでも簡単に侵入することができます。
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侵入口と休憩場所の区別が導く物理的な対策
コウモリ対策を行う上で、私たちが侵入口と休憩場所を混同しないように両者の違いを理解しておく必要があります。
コウモリが夜間に羽を休める外壁のナイトルーストは、それ自体が建物内部への侵入口というわけではありません。しかし、コウモリが壁面に止まり続けることで糞が落下します。
また、コウモリの尿が建材のエッチング(侵食)を引き起こします。エッチングにより塗装が剥がれ、そこを足がかりに爪を立てやすくなります。
人間が穴を塞ぐ前に、そもそもコウモリを外壁に着地させない、コウモリが止まるための足がかりを与えないという物理的な構造変更のアプローチが、建物を守るための絶対条件となります。

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既存手法の欠陥を解決する新しいコウモリ対策資材

これまでのコウモリ対策が失敗を繰り返してきた理由は明確です。
コウモリが外壁に着地して別の隙間を探す這い回り能力や、コウモリの空間記憶による執着に対し、スプレーなどの匂いによる追い出しや忌避で防ごうとしてきた手法そのものに限界があるからです。
まずコウモリ対策で大切なことは、空間記憶に依存するコウモリを建物内に閉じ込めず、安全に外へ出すこと。
そして、1mmの段差を利用するコウモリの爪に対して、物理的に止まれない、登れない壁面構造を作り出すこと。
匂いによる誤魔化しを排除し、建物の構造的な解決を図る必要があります。
この現場の論理と生態学的エビデンスを具現化するため、私は産業用ブラシメーカーである株式会社バーテックの開発陣と共同で、プロフェッショナル専用のコウモリ防除資材「バットアウト」および「バットスライド」を開発いたしました。
コウモリの自然な追い出しと住宅への執着心を遮断する2つのアプローチ
コウモリを自然に追い出す一方通行のデバイス|バットアウト
バットアウトは、コウモリの出入り口(穴や隙間)に直接設置し、内部のコウモリを自然に外へ出し、戻れなくする日本のアブラコウモリ(イエコウモリ)専用の一方通行デバイスです。コウモリにパニックを起こさせて壁の奥へ逃げ込ませるリスクを排除し、安全な追い出しの工程を担います。

コウモリの外壁をぶら下がりを防ぐ|バットスライド
バットスライドは、コウモリがよく止まる外壁の上部に、部分的にではなく帯状にぐるりと取り付けるデバイスです。これによりコウモリの爪を引っ掛けさせず、コウモリが物理的に着地・停止できない環境を作り出し、外壁への執着を遮断します。

2026年3月の展示会での反響
現在開催されている環境機器株式会社主催の「2026年春季PCO・TCOレベルアップセミナー(防虫防獣業者向け)」において、株式会社バーテックが本製品のプロトタイプを展示しています。
先日終了した大阪会場(3月18日)では、私も共同開発者としてブースに立ち、全国のプロ業者の皆様へ直接ロジックをご説明いたしました。
現場で実際にフン害や外壁の尿のシミ汚れに悩まされている多くの業者様から、「どうやって使うのか」「どこに付けるのか」といった具体的な質問を多数いただき、この物理的な解決がいかに渇望されていたかを肌で感じています。
今後の展開と東京会場での展示に向けて
まもなく開催される3月26日(木)の東京会場(KFC Hall&Rooms)でも、引き続き製品展示を行い、私もブースに立つ予定です。
これから本格的なコウモリの活動期を迎え、施主様からのご相談が増える時期となります。追い出しや外壁への飛来、外壁の尿汚れでお悩みの際は、この新しい物理的解決の選択肢をぜひ思い出してください。詳しい製品仕様や導入に関するお問い合わせは、株式会社バーテックへ直接ご相談をお願いいたします。
また、長野県・新潟県の一部、山梨県の一部、岐阜県の一部の営業エリアの方には、かわほりプリベントが独自の技術でコウモリの外壁対策をしておりますので、お問合せください。
当サイトにおきましても、6月下旬の発売に向けて、実際の現場での実証事例(第2弾)、順次記事を公開してまいります。ご期待ください。
バットアウト、バットスライドなどコウモリ対策製品プレスリリース(外部リンク:株式会社バーテック)
お問い合わせについて
バットアウト、バットスライドなどのバーテック製品について
販売店など製品についてのご質問やお問い合わせは、株式会社バーテックにお問い合わせください。
長野県全域および新潟県・山梨県・岐阜県の一部地域のお客様
かわほりプリベントでは、バットアウト及びバットスライドの施工、独自技術を駆使したコウモリの駆除と外壁対策も行っています。お問い合わせページからご相談ください。
この記事の執筆者・監修者
山岸 淳一 (Junichi Yamagishi)
かわほりプリベント代表。長野県を拠点に、コウモリや野生動物の研究をしながら、駆除対策の依頼には直接現場で対応している。動物と人間との間に生じた曖昧な境界線を整えることが使命。研究の専門領域は、長野県に生息するコウモリの生態研究(特に上高地や乗鞍高原など山岳地帯の希少種コウモリ)と、コウモリや野生生物の住宅や建築物への侵入メカニズムの解析研究。ハウスメーカー住宅から大学病院、重要文化財、古墳まで駆除対策の実績多数。SBC信越放送ラジオ「かわほり先生の生き物万歳」(毎月第4木曜)にレギュラー出演中。三度の飯よりコウモリが好き。
よくある質問
コウモリには感覚適応という能力があり、強い匂いであっても短時間で背景情報として処理し、無視するようになるためです。また、コウモリは強固な空間記憶を持っており、匂いによる一時的な不快感よりも、安全なねぐらへの執着が勝ることも理由として挙げられます。
登れます。コウモリの爪は非常に鋭く、外壁塗装のわずかな継ぎ目や板金の1mm程度の段差があれば、平気で登ります。例えば足場がなくとも、爪さえ引っかかれば、体をスイングさせながら隙間へ侵入することも可能です。
コウモリは飛行中の超音波(エコーロケーション)だけで隙間を見つけているわけではないからです。複雑な外壁では音の乱反射が起きるため、コウモリは一度壁面に着地し、物理的に這い回りながら隙間を探り当てる行動をとります。ですので、隙間はすべて埋めることが基本対策です。
これまでの対策は匂いで嫌がらせるか、見えている穴だけを塞ぐという表面的な対処療法であり、コウモリが外壁に着地して別の隙間を探す能力や、空間記憶による執着を防ぐことができませんでした。
バットアウトやバットスライドは、コウモリが嫌がる匂いという、個体差や環境に左右される不確定な要素に依存していない、物理的な製品です。
バットアウトはコウモリを閉じ込めずに安全に外へ追い出す一方通行の動線を作り、バットスライドはコウモリの爪が引っかからない素材と角度で壁面に着地すること自体を物理的に防ぐという、建物の構造的な解決を図る点が決定的な違いです。
コウモリが壁面に止まり続けることで排泄される尿が、建材を化学的に侵食(エッチング)するためです。放置すれば外壁が劣化し、休憩場所だった箇所が広がり、穴が出来て新たな侵入口に変わるリスクがあります。
2つの製品は、対策の目的と取り付ける場所が明確に異なります。
バットアウトは、建物内部に侵入したコウモリを安全に外へ逃がし、再び戻れなくするための追い出し・排除デバイスです。コウモリが実際に出入りしている外壁や軒下の侵入口(穴や隙間)に直接設置します。
バットスライドは、外壁でのナイトルースト(夜間休憩)を防ぐため、コウモリが物理的に止まれないようにする執着遮断デバイスです。コウモリがよくぶら下がる外壁の上部(玄関の上部やその両サイドなど)に、部分的な設置ではなく、帯状に面でぐるりと取り付けるのが特徴です。
開発・製造元である株式会社バーテックへお問い合わせください。本製品はプロフェッショナル専用の防除資材として2026年6月下旬に発売予定です。詳細な仕様や導入に関するご相談はメーカー窓口にて受け付けています。下記に製造メーカーの外部リンクを紹介しておきますので、製品の詳細や質問はそちらでお願いします。
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