松本市神林の住宅に併設された土蔵(築約100年)で、コウモリ被害に対する駆除・対策工事をした事例ページです。
この記事の要約
- 建物詳細:築約100年ほどの土蔵。漆喰なまこ壁。数年前に壁を補修し再塗装済み
- 被害状況:外壁(漆喰)への糞尿付着、漆喰の崩れ、地面・軒裏空間に大量のコウモリのフンが堆積
- 調査結果:バットディテクターと出巣タイミングの目視によりアブラコウモリと特定
- 施工内容:専用デバイスでの生き埋めにしない追い出し駆除、コウモリのフンの除去、寄生虫ダニの殺虫処理、金網及びメッシュ部材による物理的な封鎖、漆喰補修、足場設置など。
このお客様がコウモリで悩んでいたこと
- 土蔵の周りの地面に、コウモリのフンが大量に落ちて山になっている。
- 以前からコウモリがいることは分かっていたが、徐々に数とフンの量が増えてきて、いよいよ無視できなくなってきた。
- 白い外壁(漆喰)にフンや尿のシミがつき、庇(ひさし)部分の漆喰がボロボロに崩れて中の土が見えてしまっている。
- コウモリたちがこのまま増えたら、ご近所に迷惑がかかってしまう。



コウモリの現地調査で確認したこと
- 生息種と環境: 現場の松本市神林は、鎖川と農地、用水路が近くにあります。これはコウモリの餌となる小さな羽虫が多く発生しやすい環境です。フンの形や大きさからの推測だけでなく、屋根の隙間にいるコウモリを直接目で見て、アブラコウモリであると特定しました。
- フンと尿の被害状況: 建物の側面(妻側)の地面や、屋根の裏側に大量のフンが溜まっていました。また、コウモリ特有の成分が濃い尿によって、漆喰の表面が溶けるように傷んで(侵食されて)おり、建物への影響が出始めていました。
- 生息箇所の特定: 屋根の裏側からは姿が見えなかったため、専用のカメラを使って内部を調査したところ、屋根の高い位置にある柱(棟柱)の上の空間に隠れていることを確認しました。
- 侵入口の特定: 屋根の側面付近の木部に、コウモリが日常的に出入りしている黒ずんだ跡と尿によるシミがありました。夕方18:30頃に外へ飛び出していく様子も確認しています。


コウモリ駆除工事の実施内容
建物の状況と隠れている場所に基づき、以下の手順で対策工事を行いました。
- 足場設置: 高い場所での作業を安全に行うため、専用の足場を組みます。
- 清掃と初期対応: もともと付いていた古いネットを取り外し、コウモリ専用の集塵機(掃除機)でフンを吸い取ります。
- 仮ふさぎ: 目の粗い金網と細かいメッシュを使い分け、まずは仮の侵入防止を行います。
- 追い出しと観察: コウモリは法律で保護されているため、殺傷せず安全に外へ出す必要があります。そのため、「外に出られるが中には戻れない」専用の出口を取り付け、カメラで内部の様子を観察します。
- 封鎖工事と補修: 数日後、コウモリがすべて外に出たことを確認してから、建物の隙間に合わせた材料で出入り口を物理的にふさぎます。同時に、糞尿でボロボロになっていた漆喰部分の補修処理も行いました。
- 衛生処理: コウモリにはダニやノミがついていることが多いため、二次被害を防ぐための殺虫処理を行い、残った細かいフンも吸い取ります。
- 完了確認と足場解体: 後日、もう一度現地を確認し、問題なく対策できていることを確認してから足場を解体しました。


今回のコウモリ対策現場のポイント
土蔵におけるコウモリ対策は、「内部」「外部」「ケラバの軒裏」という3つの空間への対応が焦点となります。
また、周囲が水田等の農村地域である場合、コウモリだけでなく鳥類の侵入リスクも考慮する必要があります。そのため、対象生物の習性に合わせ、目の大きさが異なる2種類の部材(亀甲金網と特殊メッシュ)を使い分け、その後に複合的な対策を施しました。


土蔵のコウモリ駆除対策の費用と工期について
参考工期
約2週間(実働4日、足場仮設作業を除く)
※足場設置から完了確認・解体までの目安期間です。
費用について
土蔵のコウモリ対策費用は、一律ではありません。特に以下のような条件によって、必要な作業内容が大きく変動します。
- 高所作業に伴う足場設置の有無
- 糞尿による建材(漆喰や木造部分)の傷み具合
- 侵入箇所の数や、屋根の構造の複雑さ
実際の費用につきましては、現地調査を行った上で、被害状況に合わせたお見積りをご提示しています。
土蔵における早期対策の重要性
コウモリの尿は成分が非常に濃いため、そのままにしておくと建物の素材(漆喰など)を傷めてしまいます。
土蔵は特有の構造上、糞尿などによって漆喰や土壁が部分的に傷むと、そこを起点として周辺の崩落が連鎖的に進行しやすい建築物です。一度崩れ始めると修復や足場の規模が大きくなるため、被害が局所的な段階でのコウモリ駆除対策が土蔵の保護に直結します。

松本市におけるコウモリ被害の傾向と多発エリア
今回の現場である神林地区をはじめ、鎖川と奈良井川の間に位置する水辺のエリアは、餌となる水生羽虫が豊富に発生するため、特にコウモリ被害のご相談が集中します。
実際に松本市内では、神林のほか、梓川、島内、島立、寿、寿小赤、村井といった河川や田園地帯が近いエリアからのご相談が多く寄せられています。 こうした地域にある築年数の経過した土蔵や住宅では、構造上の隙間が侵入口として利用されやすいため、建物の納まりと周辺環境の両面から個別の確認が必要です。

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かわほりプリベントは、住宅や建築物のコウモリの駆除対策の専門家としてだけでなく、長野県におけるコウモリの生態研究と、野生動物の建築物侵入メカニズムの研究機関としての側面を持っています。
生態データに基づいた科学的な対策や、長野県内各地域での施工実績については以下のページもご参照ください。
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この記事の執筆者・監修者
山岸 淳一 (Junichi Yamagishi)
かわほりプリベント代表 / クビワコウモリを守る会所属。長野県在住。専門領域は、長野県の山岳性コウモリの生態研究と、コウモリや野生動物の建築物への侵入メカニズムの解析。日本哺乳類学会・日本ペストロジー学会に所属。コウモリの低所侵入メカニズムや上高地でのコウモリ調査は、国の学術データベース(J-GLOBAL)にも登録されている。長野県を拠点に、コウモリや野生動物の生態研究と、直接現場に赴く駆除・防除対策を両立している。ハウスメーカーから大学病院、古墳まで対策実績多数。動物と人間との間に生じた曖昧な境界線を整えることが使命。SBC信越放送ラジオ「もっとまつもと」内コーナー「かわほり先生の生き物万歳」(毎月第4木曜日16:20~)レギュラー出演中。三度の飯よりコウモリが好き。
コウモリ駆除と土蔵のFAQ
いいえ。ご自身での捕獲や殺傷はおすすめできません。日本の野生動物は「鳥獣保護管理法」という法律で守られており、原則として許可のない捕獲が禁止されています。
専門業者が行う「傷つけずに自然に外へ出ていってもらう対策(追い出し)」は合法ですが、ご自身でネズミ捕り用の粘着シートを仕掛けたり、コウモリが死んでしまうおそれのある薬剤を直接スプレーしたりすると、法律違反となる可能性がありますのでおやめください。
詳しくは、環境省の「鳥獣保護管理法の概要」および「野生鳥獣の違法捕獲の防止」をご確認ください。
経験上、長期に渡って堆積が続くと、漆喰壁は傷みます。
コウモリの尿は人間の尿より成分が非常に濃いため、そのままにしておくと建物の素材(漆喰など)に浸透して傷んでしまうのです。
特に土蔵は一部が崩れると、そこから連鎖的にポロポロと崩れが広がりやすい性質があります。被害が狭い範囲にとどまっているうちに早めの対策を行うことが、建物を守ることに直結します。
また、コウモリが「土蔵の内部」に入り込んでいるのか、それとも「外側の屋根の裏」にいるのか、によっても起きる被害が変わります。まずは正確な状況を把握することが大切です。
アブラコウモリは体が非常に小さく、わずか1センチ弱(約7ミリ)の隙間があれば簡単に入り込んでしまいます。築年数が経った土蔵や古い住宅では、屋根の裏側や、柱と壁のつなぎ目などにある「構造上のわずかな隙間」が主な出入り口として狙われやすくなります。
土蔵は、いろいろな種類のコウモリが利用するケースが見られるので、何コウモリなのか、種類を特定して、その種類に合わせた対策を行いましょう。
具体的には神林、梓川、島内、島立、寿、寿小赤、村井などで、餌となる水生羽虫が豊富に発生するため標的になりやすい環境です。
コウモリの追い出し完了後、専用の薬剤を用いて殺虫処理を実施します。コウモリに寄生するダニ、トコジラミ、ノミ等の二次被害を防ぎ、専用集塵機でフンを吸引して衛生的な環境を取り戻します。
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